


CASE STUDY
三菱商事が推進する生成AIアプリの全社導入とAI変革:これまでの歩みとこれからの挑戦
Client: 三菱商事株式会社ITサービス部様
左から三菱商事森本氏、倉島氏、エムシーデジタル森
ChatGPTが2022年11月にリリースされて以降AIの発展は目覚ましく、企業の戦略やオペレーションに大きな影響を与えています。多くの企業で生成AI導入・業務変革が進む中で、三菱商事 ITサービス部では23年6月から、いち早く三菱商事の全社員が利用できるセキュアなアプリケーションを展開し、全社で変革を推進してきました。 同社は2023年のプロジェクト開始当初からエムシーデジタルと協業し、以降フェーズに合わせて内容を変えながら、取り組みを進めています。
今回は、三菱商事 ITサービス部の倉島氏、森本氏(以降 敬称略)に、三菱商事の生成AI導入に関する取組や展望、そして弊社との協業による成果について、エムシーデジタル担当の森を交えてお話を伺いました。
生成AIの登場は不可逆的であり、いち早く社員が利用できる環境を整備
―― 三菱商事 ITサービス部で進められている生成AIの取り組みについて教えてください
倉島:以前から、AIを活用した言語関連の案件に10件ほど取り組んでおりましたが、ChatGPTが登場したことで、言語(テキスト)に関する分析や文章の校正、翻訳、リサーチといった、今までは個別に数千万円~数億円のアプリケーション開発を必要とする要望が一つの技術・一つのアプリケーションで対応できる状況に大きく変わりました。
全社員が安全にChatGPTを利用できる環境を早急に整える必要があると考え、2023年3月に「MC-GPT構想」の策定に着手し、順次、生成AIアプリケーションを社内へ導入してきました。(MC: Mitsubishi Corporation)
現在、三菱商事では、社内の共通業務を効率化することを目的としたMC-GPTポータル上で、チャット、文書要約、社内文書検索、文字起こし・議事録作成、資料レビューなど、多岐にわたる機能を単体全社員に提供しています。また、投融資稟議業務や商品売買交渉業務など、特定部署が担う専門業務の効率化を実現するアプリの開発も推進しています。三菱商事社員が生成AIをさらに活用し生産性を向上できるよう、引き続き、機能拡張や改善を進めています。
利活用の推進から生成AIの検索機能の実装まで進展した協業
―― エムシーデジタルとどのような背景で協業したか教えてください
倉島:エムシーデジタルとは、三菱商事グループのDX・AIに関するテクノロジーカンパニーとして、今回の協業以前から継続的にコミュニケーションを取っていました。
プロジェクトの開始当初、三菱商事の社員間でも生成AIに対する期待や理解度にばらつきがあり、多種多様な利活用ニーズが寄せられていました。まだまだ活用事例が世に出ておらず、自社で案件の見極めをし、具体的な取り組みにつなげていくことが急務でした。
そうした中で、三菱商事の100%出資会社であり、AIに関する高度な知見と技術力を持つエムシーデジタルに、単なる開発ベンダーとしてではなく、生成AIプロジェクトを共に推進するパートナーとして伴走してもらう形で協業を開始しました。
―― 約2年にわたり協業を続けてきた中で、具体的な取り組みについて教えてください
森:当初は、各部門の利活用ニーズを把握し、技術的な評価を行う支援を提供しました。その中で、生成AIに対する期待や理解度にばらつきが多い部門に対しては、ワークショップなどの支援を通じて利活用の機会を創出するサポートをさせていただきました。
倉島:思い返せば社員の期待値や理解度にばらつきがある中、多数のアイデア・問い合わせが寄せられており、汎用的なニーズは何かというのをビジネスと技術の両方の観点から見極めていくのが大変な時期でした。
森:もはや昔日の念がありますが、当時は、現段階で実用性や安全性、具体的な利活用の方向性、事業への影響の幅・深さなどの見極めが難しく、業界・規模を問わず、ご相談いただいた企業の皆様が試行錯誤されていた時期でした。
そうした環境下でご支援を続けさせていただく中で、弊社でも生成AIの自社プロダクトをリリースしたことを契機に、2024年度からはRAGが関連する文書要約・社内文書検索の機能を中心に開発にも携わらせていただいております。
MC-GPTは月間アクティブユーザが1,000人を超え、業務に欠かせないアプリケーションに
―― これからも生成AIの取り組みは続いていくと思われますが、現時点でどのような効果を感じておりますか?
森本:ITサービス部としても、複数の施策を進めておりまして、MC-GPTポータルが2024年8月に公開されて以降、月間アクティブユーザも1000人を超えるなど、着実に生成AIの活用が広がっていることを実感しています。
ご支援いただいた文書要約・社内文書の機能については、三菱商事の役職員が満足する精度を出すのが難しいことに加え、参照情報の細かな指定や追加の質問対応など、生成AIならではの課題が多く、開発に苦労した部分でもあります。
エムシーデジタルでは、すでにこうした技術を盛り込んだプロダクトを開発しており、その知見を活かして安定した開発を実現いただきました。
また、生成AIの最新技術を迅速に取り入れることが求められる一方で、全社員が利用するアプリケーションである以上、安定した開発・リリースも不可欠です。その点に関しても、エムシーデジタルでは、技術力のあるデータサイエンティスト、エンジニアが多数在籍しており、安定した開発を実現いただいております。
生成AIによる変革に挑み続ける
―― ぜひ、今後の展望についてもお聞かせください。
森本:生成AIの技術進展は目覚ましく、最新の推論モデルの登場や低コストモデルの開発、自律的にWebを検索してレポートを生成する機能などが次々と生まれています。こうした技術の進化に対し、三菱商事としてもその動向を注視し、適切に活用していく必要があると考えています。
こうした新技術を使いこなすためにも、単にアプリケーションを開発するだけでなく、社員の理解を深め、業務への適用を促進する取り組みや、社内に蓄積されたデータの活用を進めることの重要度が増しているように感じます。
特に、三菱商事の社員が生成AIをよりよく活用することで、三菱商事のグループ会社にもよい影響を与えられると考えており、三菱商事グループ全体の企業価値を高めうる重要な取組だと認識しております。三菱商事の社員がいち早く、生成AIを活用し生産性を高められるような環境を作っていきたいと思います。
―― エムシーデジタルへ今後期待することがあれば、教えてください。
倉島:生成AIの進化は日々加速しており、それに伴い、三菱商事社員の期待や要望の声もますます高まっています。今後も、三菱商事の競争力を支え続けるために、この変化に迅速に対応しながら取り組みを進めていきます。
エムシーデジタルには、優れたデータサイエンティストやエンジニアを核とし、生成AIの技術力と実装力をさらに強化していただきたいと考えています。そして、本協業にとどまらず、三菱商事グループ全体の生成AI活用をサポート/リードし、さらなる変革に貢献していただけることを期待しています。
森:ありがとうございます。お伺いした内容を励みにし、三菱商事グループのDX・AIに関するテクノロジーカンパニーとして、引き続き生成AI分野のサービスを磨き、変革に貢献してまいります。
―貴重なお話、ありがとうございました。
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案件担当者

森 健太郎

中田 勇介

荻野 将拓

伊藤 翔

矢野 翔平
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