CASE STUDY

生成AI活用で営業活動を進化させる「アカウントプラン自動生成」への挑戦

Client: 株式会社セゾンテクノロジー様


左からセゾンテクノロジー丸山氏、エムシーデジタル田中

営業活動の効率化は、企業の重要な課題の一つです。顧客一人ひとりに最適な提案を行うには、膨大なデータ分析と戦略立案が欠かせませんが、従来の手作業では限界が見えていました。
こうした課題の解決策として生成AIが注目される中、株式会社セゾンテクノロジー(以下、セゾンテクノロジー)ではいち早くこの分野に取り組み、今年からエムシーデジタル株式会社(以下、エムシーデジタル)と協業を開始。生成AIを活用した革新的なアカウントプラン自動化システムの開発に着手しました。

今回は、セゾンテクノロジーで欧米市場を統括する丸山氏に、エムシーデジタル担当者の田中を交え、生成AI活用による営業活動の変革、その成果と今後の展望について話を聞きました。

―― まずは、丸山様のご担当業務についてお伺いできますか?

丸山:私は、アメリカとヨーロッパを中心に、欧米市場全体を統括しています。セゾンテクノロジーのデータインテグレーション、ファイル転送など、データ系ソリューションの販売拡大がミッションです。顧客は日系企業だけでなく、エストニア政府など現地の企業にも当社の製品を使っていただいています。

2016年にアメリカのサンマテオで事業を立ち上げ、現在数十人の体制で、メンバーはアメリカ在住のメンバーに加え、コスタリカ、メキシコ、コロンビアなどからも参画しています。

コロナ明けからは、年に2回ほど日本に出張しています。最近は、主にヨーロッパへの出張が多く、顧客訪問、スタートアップ関連の目的が多いですね。

セールスフォースのイベント出展を機に、アカウントプラン自動化へ

―― それでは、今回の取り組みの背景についてお伺いできますでしょうか?

丸山:きっかけは、セールスフォースが主催するイベント「Dreamforce」への出展です。新たな要素を取り入れたいという企画が進む中で、いくつかのアイデアが検討され、その一つとして、「アカウントプラン自動生成」が候補に挙がりました。日本チームを含めて、実現性のあるテーマとして議論された中で、アメリカに出張していた関係者を通じて、エムシーデジタルを紹介いただき、プロジェクトが動き出しました。

Dreamforceには様々なベンダーが出展するので、他とは異なる新しいアプローチを示したいという狙いがありました。生成AIだけでは差別化が難しいので、「Salesforce」に関連するものとして、アカウントプラン自動生成が最適だと判断しました。

―― エムシーデジタルとの協業はどのような形で進められたのでしょうか?

丸山:まず、エムシーデジタルからDify等のツールを使ったデモを通じて、具体的な提案をいただきました。プロセスやアウトプットの説明が非常に丁寧で、他のベンダーと比べて緻密で細やかだと感じました。

また、短期間のプロジェクトでありながら、要件定義して開発が終わってから検証するというウォータフォール型ではなく、細かく改善しながら進めていくアジャイル型で柔軟に対応してもらえたことも大変良かったです。

生成AIとノーコード開発で、顧客データに基づくアカウントプランを自動生成

―― では、実際の取り組みの内容について教えていただけますか?

田中:提案の段階では、ノーコードツールの一つであるDifyにて生成AIを組み合わせることで、ローカル環境でアプリを開発し、実物のイメージを持ちやすいようにしました。

具体的な提案内容として、財務情報などは既存のAPIから取得することで、生成AIを使わずに開発時間を短縮できると考え、生成AI以外で実現する部分を明確化しました。一方で、アカウントプラン作成に必要な顧客情報や社内データなどをRAGとして用い、将来的なビジネスの可能性や売上予測などを自動生成させることを目指しました。

この生成AIを活用したアプローチにより、顧客への提案資料作成の効率化を図るとともに、より精度の高いアカウントプラン作成を可能にしました。

―― 導入による具体的な効果や評判はいかがでしょうか?

丸山:今回の取り組みで一番大変だったのは、短い期間でデモを作成することでした。その中でも、エムシーデジタルの皆さんは柔軟に対応してくれました。例えば、既存のAPIからデータを取得する方法や、「Salesforce」やExcelの特定のフィールドからデータを使う方法を提示していただき、限られた条件の中で実現可能な方法を具体的に示してくれた点を評価しています。

Dreamforceでは、実際に動くデモを見ていただくことで、多くのお客様から「このようなことができるのか」と驚きの声をいただきました。技術的な詳細よりも、AIの新しい活用方法を発見できたという点に魅力を感じていただけたようです。

社内でも、役員や特に営業部門から驚きの声が上がりました。営業担当者からは、アカウントプラン作成の効率化に期待が寄せられています。従来、アカウントプランの作成には5~8時間程度かかっていましたが、このツールを使うことで数秒で作成が可能となり、大幅な時間短縮が実現できます。もちろん、精度はまだ100%ではありませんが、6~7割程度の精度があれば、あとは人間が微調整を加えることで実用的なレベルになります。

―― 今回は短い期間でのプロジェクトでしたが、アウトプットまで実現できたポイントについて教えてください。

田中:セゾンテクノロジー様とは密に情報のやり取りをさせていただき、その情報も大変わかりやすく、具体的なイメージを持って取り組ませていただいた点が、今回の短期間でのアウトプット提供に繋がったと思っています。
また、弊社からアサインしたデータサイエンティストも要件を確実に満たしながら、アウトプットまで実現できる技術力を持っていたことも要因と自負しています。

丸山:エムシーデジタルは開発側の立場でありながらビジネス目線でどのようなアウトプットが求められているのかまで深く考え、我々と共にプロジェクトを進めていただいた点も非常に評価しています。

顧客ニーズを捉えた製品開発、基幹システムへのデータ入力効率化

―― 今後の展望についてお聞かせください。

丸山:今回のデモに対する反応は、非常に励みになりました。同時に、実際に導入を進めていくには、顧客のニーズをさらに深く理解し、解決すべき課題を明確化する必要があると感じています。
具体的には、顧客が「Salesforce」にどれだけデータを入力しているのか、その質はどうなのかといった点を把握する必要があります。その上で、本格的な導入に向けて、受託開発か、それとも自社でプロダクト開発をするのかを判断していく予定です。
また、市場の動向も注視していく必要があります。類似の製品はすでにいくつか存在しており、競合との差別化も重要なポイントとなります。特に、アメリカの企業が提供している製品を参考に、機能や価格の比較検討を進める必要があります。
適切なタイミングを見極めながら、顧客のニーズに応える製品開発を進めていきたいと考えています。

田中:今回の取り組みを通じて、「Salesforce」などの基幹システムへのデータ入力の重要性を改めて認識しました。現状では、データ入力の手間が大きな負担となっており、十分なデータが蓄積されていないケースも少なくありません。
今後は、OCRや生成AIを活用することで、データ入力の簡略化や効率化を進めていきたいと考えています。例えば、メールから必要な情報を抽出し、「Salesforce」に自動入力する仕組みなどが考えられます。
データ分析や予測の分野は私たちエムシーデジタルの強みですが、生成AIの分野においても様々な可能性を探り、顧客の課題解決に貢献できるよう積極的に取り組んでいきたいと考えています。

―― エムシーデジタルに今後期待することは?

丸山:セゾンテクノロジーにはデータインテグレーションに強いエンジニアが多くいますが、データ分析やデータサイエンスは今後伸ばしていきたい領域です。エムシーデジタルには、その分野の知見やノウハウを共有いただき、相乗効果を生み出せる協業を期待しています。特に、日本企業の海外進出支援や、グローバル市場で通用するプロダクト開発において、共に成長していきたいと考えています。

AIは人を支援するツール、ルーティンワークから解放され、 新しい挑戦を

―― 最後に、AI活用を検討している読者に向けて一言お願いします。

丸山:AIは人を代替するものではなく、人を支援するツールです。日々のルーティンワークをAIで自動化することで、空いた時間をよりクリエイティブな仕事に充てることができます。AIの活用は、今まで退屈に感じていた作業から解放され、新しいことに挑戦するチャンスを与えてくれるでしょう。ぜひ、AIの専門家であるエムシーデジタルの皆さんに相談しながら、積極的に活用を検討してみてください。



―貴重なお話、ありがとうございました。

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案件担当者

田中 宏明

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